ダークソウル1の火継ぎは
1.不死人である主人公が、グウィンの後継者として
2.神々のソウルを集め
3.最初の火の炉への扉を開き
4.グウィンを倒して始まりの火を継ぐ
という内容でした
では、ダークソウル2の火継ぎはどうでしょうか?
1.不死人である主人公が、火を継がない王たちの替わりに
2.神々の居なくなった世界で
3.渇望の玉座へと向かい
4.窯の中に入って終了
です
※この考察は、無印主人公が火の時代を継いだことを前提で進めていきます
ダークソウルシリーズの世界観は共通であるという認識の元で書かれています
果たして2の主人公は火を継いだのか?
2主人公は火の炉に行っていません
先代の薪の王を倒していません
最後は篝火じゃなくて窯の中
あまりにも無印主人公の火継ぎとは内容が違います
「かつて、幾多の王が現れた
ある者は毒に呑まれ、ある者は炎に沈み、
そしてある者は、凍てついた地に眠る
ひとりとして、この地に辿り着くことなく」<アンディール>
そもそも火を継いだと思われる薪の王も居ないのに、2主人公はひたすらにソウルを集めて、最後に「闇の子」の一人を倒して物語は終わります。
しかし、終盤の緑衣の巡礼の台詞では
「火を継ぐ者、呪いをその身に引き受けるもの。あなたが火を継げば、再びソウルは充ち、同じことが繰り返される
それを望むも、拒むも、あなたが決めることです 」
と言っているので、窯の中で主人公が望みさえすれば火を継ぐことは可能なようです
太古の火継ぎの再現
シリーズを通して2だけが唯一「最初の火の炉」へ至っていません
「なあ君、使命の意味を知っているかね
5つの玉座に5人の王を
それは火継ぎの準備なのだよ
いよいよ陰り、今にも消えんとする火を継ぎ、再び世界を繋ぐため
最古の火継ぎを再現するために
…私は、そのために薪の王となったのだよ
この小人が、王の栄誉に浴したのさ」
<クールラントのルドレス>
2の難解な火継ぎの答えは、シリーズの過去と未来にあるはずです
それはルドレスの言う「太古の火継ぎ」というキーワードです
これは冒頭に書いたグウィンと無印主人公の間に行われた火継ぎのことだと思われます
[王の器]
グウィン王の後継として選ばれた不死の英雄に与えられるソウルの器
転送により篝火を渡る業を与える
この器を祭壇に置き
偉大なソウルで満たすことで
最後の扉が開かれるだろう
篝さん考察でも書きましたが、最初の火の炉は「別空間」に存在していると思われます
3のロスリックの最初の火の炉の位置を見るに、空間の時間やら次元をずらされて存在しているようです
そして、3の火継ぎは無印の火継ぎを模倣している節があります
重要なのは5人の薪の王たちの血です
ファランの不死隊→狼血の主(アルトリウス)
巨人ヨーム→巨人墓地の神の血脈
人喰らいのエルドリッチ→グウィンドリン
ロスリック王子→血の営みによる神族の血の取込み
クールラントのルドレス→小人
彼らは皆、尋常の不死人ではなく、人種やその血に特殊性を持っています
多くは何らかの方法で「神の血脈」を有していると考えられるのです
無印では王の器(ソウルの器)に強大な神々の魂を焚べることで火の炉への扉を開くことができました
対して3では火の無い灰である主人公自身がソウルの器であり
薪の調達者として王の首を集め
それを火防女に焚べられることにより火の炉の空間へ至ることになります
「そして、彼(彼女)は殺すでしょう
はじまりの火を継いだ、ロードランの古い神たちを」
<火防女の儀式>
かつてはじまりの火を継いだ「王たちの化身」を倒し
最初の火を完全に手に入れることで無印の火継ぎを再現する
というのがルドレスの立てた計画のようです
無印と3の火継ぎの共通点を考えると
最初の火の炉の空間へ行くためには
一定量以上の神々、あるいは人でない者の血を含むソウルや薪が必要だということになります
そして、2の世界はほぼ神々が出てきません
故に、最初の火の炉へは至れなかったということになります
※2周目で「古き~のソウル」が手に入りますが、これらは長い時を経た残滓なので、火の炉を開くエネルギーには至らないという判断をします
いつから最初の火の炉への扉は閉ざされていたのか?
おそらく最初の火継ぎ以降すぐではないでしょうか
無印の段階で多くの神々は行方を眩ませていました
2では殆ど神は出てきません
デーモンの母たる、混沌の苗床
魔女はソウルから「最初の火」を作ろうとし
歪んだ混沌の炎の獣を生み出した
すべてのデーモンの苗床となったその力は
王の器を占めるに足るものだ
<王のソウルより>
火の炉へと到る扉を開くために器を満たすほどのソウルを持つ神々の生贄が必要であるのならば、始めから火の炉での「火継ぎの回数」は限られていたのだと考えられます
そして、「火の炉へ行かずに火を継ぐ」ための手段が窯なのではないでしょうか
そして2主人公だけでなく、3の薪の王たち(ややこしいので薪ファイブと呼びます)の火継ぎも「窯スタイル」だったのではないでしょうか
薪ファイブは火を継いだ化身の中に入っていないからです
そして3の火継ぎの祭祀場に据えられた石の玉座は2の窯の中にある玉座とよく似ているのです
あるいは5つの王の薪の玉座がある祭祀場自体が、煤だらけの巨大な窯であるとも考えられます
そして「王の薪」のテキストから分かるように、彼らはかつて玉座に座っていたのです(ロスリック王子を除く)
もうひとつの共通点ですが
2の窯ENDは「王たるものよ、玉座へ。その先は、貴方にしかみえないのです」
という語りで終わります
対して3のエルドリッチは玉座に絶望したり、深海の時代とやらを視たと有ります
そしてルドレスも火防女の瞳を隠し、未来を変えるための火継ぎを望んでいました
おそらく、玉座に座った者は世界の行く末が
見えてしまうではないでしょうか
だからこそ、一度は火を継いだ薪ファイブも再び玉座に座ることはなかったのではないでしょうか
窯とは?
はじまりの火を継いだ薪の王たち
神のごとき彼らの「化身」の大剣
それは、玉座無き彼らの前にずっとあった
篝火に刺さる螺旋の剣である
<化身の大剣より>
無印の火継ぎENDは
火継ぎの象徴である「篝火」に火を灯して終わります
無印の[はじまりの]火を継いだ薪の王たちに玉座はありませんでした
では、玉座を持つ「窯」とは何か?
窯と聞いてまずイメージするのは「薪窯」ではないでしょうか
窯の中に薪をくべて火を付ける
主人公は薪の王に成るのでしょうから、そのイメージが一番近いのかもしれません
しかし、よくよく調べてみると
ダークソウル2の主人公に対して「王に成れ」と言う人は居ても
「薪の王に成れ」とは誰も言っていないのです
火を継げとは言われるのに薪という単語がまったく出てこないのは違和感が有ります
では薪でなければ何なのか?
窯には他に「炭窯」という物があります
炭窯とは炭を作るための窯です
そして炭の原料は薪です
3opに巨人ヨームの咆哮シーンがありますが、腕の内側より炎が溢れ出る感じは薪よりも炭に近い気がします
そして3の重要要素である「残り火」を主人公が使うと身体中の所々が赤く灯り
まさに火が入った炭のような状態になります
これは薪ファイブも同様で、体力を削って追い込むと皆 残り火状態になります
これは火を継いでいないはずのロスリック双王子にも見られる現象です
「…ああ、熱い、骨が燃えている、苦しいんだ…
…助けてくれ。殺してくれ…
…嫌だ、嫌だ。こんなのは辛すぎるよ…
…熱いよ、助けてくれよ…」
<ルドレスの寝言>
独り玉座に座するルドレスの身体も燻りに焼かれています
炎も無く、両足を失い、尚もジリジリとその身を焼かれ続けているのです
対して、篝火から火を継いだ王たちの化身だけは、身体から炎が揺らいでいるのです
これは薪と炭の性質の違いによる明確な差別化ではないかと思います
無印の主人公やグウィンは焚き火にくべる「生木の薪」であり
2主人公や3の薪ファイブは、薪は薪でも窯によって燻される「木炭」なのです
焚き火の王と炭の王
「薪の王」と「炭の王」は火の炉によって区別されていると考えられます
薪の王と炭の王で性能の違いは有るのでしょうか?
無印での薪の王は自らを最初の火の燃料とし、世界を照らす焚き火のようなイメージでした
しかし、炭の王では世界を照らせる感じがしませんね。
そもそも炭は不完全燃焼の塊です
最初の火と世界を繋ぐ者が「炭」とか、なんとも言えない気持ちになります。
ただ、生木より炭の方が長く燃えそうな気はします
「…なあ、みんな、俺は王になった…
…弱い火とて、世界を繋いだんだ…」
<クールラントのルドレスの寝言>
炭の王は薪の王よりも火を継ぐ力が弱いのでしょうか?
それとも最初の火の力が弱くなっているのでしょうか?
無印と2の狭間に、すでに化身は存在していたのでしょうか?
「この先に進めば、デュナシャンドラがあなたを襲うでしょう
あの王の座につき、継ぐ者となること
始まりの火の大いなるソウルを手にすることが彼女の望みなのですから」
<緑衣の巡礼の台詞より>
闇の子の1人も玉座を狙っていました
どうやら玉座に座ることで「継ぐ者」と成り、始まりの火のソウルを手にすることが出来るようです
しかし、彼女は「力を渇望する存在」だったので、火を継いだ上でそれを独り占めするつもりだったのではないかと思います。
それは3の「残り火END」のイメージに近いのかもしれません
火の時代=神の時代
「王グウィンは、闇を恐れた
火の終わりを恐れ、闇の者たる人を恐れ
人の間から生まれるであろう、闇の王を恐れ
世界の理を恐れた
だから奴は、火を継ぎ、自らの息子たちに、人を率い、縛らせた」
<闇撫でのカアスの台詞より>
火の炉の歴史を辿ってみましょう
無印のopを見ると、最初の火は洞窟のような空間で燃えていることが分かります。
この時点で炉は存在せず、燃え盛る炎から神々や小人それぞれが勝手に「王のソウル」を見出だしていったのです
ということは、燃え盛る最初の火の在る場所に後から炉を建造したか
炉を建造し、最初の火をその場所に移したかのどちらかになります
炉を作った理由は最初の火を守るためでしょうか。
火が簡単には消えないようにと
火に簡単には誰も触れられないようにです
火の炉を開くためだけに神々のソウルが必要なのだとしたら、そこには炉を作った者たちの意思が介在しているはずです
では、誰が炉を建造し、最初の火を隠したのか?
普通に考えて「火の時代を創った神々」の他には居ないでしょう。
火の炉を開く扉の「鍵」となる神々のソウルを捧げるための「王の器」を神族側から不死人に贈呈されるのだから、神々が火の炉を作ったと考えるのが自然です
篝さんの考察で出てきた魔女たちも当然に噛んでいる話ですが、それよりも一番の元凶は
「初代火継ぎの王グウィン」である気がします
彼の望みは火の時代を終わらせぬことだからです。
「貴様たち人間は、闇の側にあったはず
かつての光の王… かの者は人間を恐れていたと聞く
人間こそが、いつか闇の時代をもたらすのだと
滑稽なものだ
何が真実なのか、そなたらは知ろうともせず」<墓守アガドゥランの台詞より>
無印主人公は目覚ましの鐘を2つ鳴らすことが不死の巡礼の使命であることを伝聞で知ります
それを成すと世界蛇フラムトが現れます
「…我は世界の蛇
正しい時代を、王を探すもの」
<闇撫でのカアスの台詞より>
世界蛇とは不死人の王を探している、時代の導き手のような存在だと考えられます
不死の勇者よ。お主の使命は…大王グウィンを継ぐことじゃ
かの王を継ぎ、再び火をおりなし、闇をはらい
不死の徴をはらうことじゃ
そのためには、まず、アノール・ロンドで王の器を手に入れねばならぬ
<フラムトの台詞より>
そんな世界蛇の1匹が自ら登場し、グウィンの親友を自称し、主人公をその後継に据えようとするのですから、不死の巡礼の主な筋書きを作ったのはグウィンやフラムトの派閥であると考えられます
そんなグウィンの取った[人類火継ぎ計画]とは
・小人を懐柔し、輪の都に隔離
・その子孫である人に火の封(ダークリング)を施し、生身の姿と生殖を与える
・神々に人を率いさせる(ロイドの白教)
・初代火継ぎの王として、自らが火の炉へ向かう
・不死人を北へ集める(ロイド騎士による不死狩り)
などです。
ソウルは呪いに等しいものであり、
強いソウルを持つ者は、より強い呪いを
その身に引き受ける
ドラングレイグの王、ヴァンクラッドは
強大なソウルで呪いを統べ、
やがては全ての始まりにあった火へと
辿りつこうとしていた
<王の指輪より>
更には、強いソウルを持つものこそが「呪い」即ちダークリングを発現するように予め人に組み込まれているのです
先の先、自ら継いだ火が陰ることまでを見越して、グウィンら神々は古くから周到に人に火を継ぐように仕向けていたのです
これらはすべて「人に火の時代を継いで欲しい」という、一貫した目的で繋がっています
火の炉でグウィンが襲ってくるのは主人公を試すためであり、それが火の時代を終らせる者なら排除するためでもあると考えられます
それ程の執念をもつ人だからこそ、最後の最後にまで化身となって表れたのでしょう
話を戻しますが、火の炉を隠す理由はここに有るように思います
はたして、次代の薪の王は
火の時代を継ぐ者か、終らせる者か
最初の火の炉を晒して置くことは、次代の薪の王に時代の選択を託すことになります
つまり、世界はそんな二者択一を火の陰りの度に迫られることになります
実際、無印主人公はフラムト、カアスの導きにより「火の時代」を継ぐか、「人の時代」を始めるかを選べました。
というか、その導きすら無視して、主人公の意思ひとつで世界の命運は決まってしまうのです
グウィンや無印主人公などの「火を継いでほしい者たち」からすれば、自分を殺しに来るであろう、1人の不死人にその選択を託し続けるのは、あまりにリスキーなはずです
もし、一度でも人の時代が来てしまったなら、力ある神々の居なくなった世界で神の時代を引き戻す事など可能でしょうか?
おそらく不可能ですし、そもそも時代とは移ろうものです。
本来はカアスが言うように「神の時代の後には人の時代が来る」のが道理だったはずです
「かつて光の王となった者は、人という名の闇を封じ込め…そして人は、仮初の姿を得た
それこそが、この世の理のはじまり
人は皆、偽りの生の中にある
例えいかに優しく、美しくとも 嘘は所詮、嘘にしか過ぎない
亡者よ それでもなお、お前は安寧を望むのか?」<原罪の探求者の台詞より>
それをさせなかったのがグウィンであり、火の時代、あるいは神の時代を継いだ薪の王(無印の主人公)たちでした
「…火の時代とは、古い神から続く時代であり、火継ぎとはその継承です」
「カアス…貴方の遺志を」
<ロンドールのユリアの台詞より>
3の世界ではカアスは既に居らず、真に「人の時代」は世界の終わりまで訪れなかったのだと考えられます
人の時代=闇の時代
「火はいずれ消え去り、そして闇の時代が訪れる それを継ぐ者が現れぬ限り」
<デュナシャンドラのソウルより>
2では明確な時代選択が有りません。
火を継がなければ消えるだけです
本当にそうでしょうか?
あの老婆たちは、火を守る特別な役目を負っていました
しかし、いまはもう その火も消えようとしているのでしょう…
そして… 亡者がこの国を…
<家政婦のミリベスの台詞より>
かつて、幾多の王が現れた
ある者は毒に呑まれ、ある者は炎に沈み、
そしてある者は、凍てついた地に眠る
ひとりとして、この地に辿り着くことなく
試練を越えたものよ
答えを示す時だ
<原罪の探求者の台詞より>
改めてダークソウル2の重大な疑問について触れますが
ドラングレイクではおそらく長い間、誰も火を継いでいないのです
火を継いで居ないのに世界は存続しています
シリーズの終着点であるDS3には4つのエンディングがあります
これは、ダークソウル世界の理を、最後に明確に示したものであると考えます
最初の火が完全に消えてしまえば、すべてが一度、闇の中に終わる「火継ぎの終わりEND」を迎えるはずです
これは闇以外すべてが失われるものであり、差異すら消える、「時代」ですらないものであると考えます
生き物のいない世界では生も死も存在しないのと同じで、光がなければ闇という概念すらやがて失われると思います
「やがて火は絶え、闇は呪いとなる
人は死から解き放たれ、永劫を得る
かつて闇を手に入れた、その姿のままに
偽りの物語は終わる… だが…
何があるべき姿なのか…」
<ヴァンクラッドの台詞より>
ですが、2では火が消えても「闇の時代」が訪れるらしいです
「貴公ら人の祖先は、闇のソウルを得て、火の後を待った
やがて火は消え、闇ばかりが残る
さすれば、貴公ら人、闇の時代だ」
<闇撫でのカアスの台詞より>
闇の時代とは「人の時代」であり、人の本性である亡者の姿を取り戻すことであり、
3の「火の簒奪者END」がこれに該当します
ですが、闇の時代を迎えるための重要な要素を2の世界では満たせません
「理に反して火を継ぎ、今や消えかけの王グウィンを殺し
そして、四人目の王となり、闇の時代をもたらすのだ」
<闇撫でのカアスの台詞より>
2では闇の王が誕生しないのです
貴公、我らの王よ
簒奪者におなりください
きたる火継ぎのその時に、火を奪ってくださいませ
<ロンドールのユリアの台詞より>
火の簒奪者ENDでは火の炉の篝火から、3主人公が最初の火の力を奪って終わります
おそらく、これこそが闇の王に成るために必要な儀式であり、最初の火のソウルを直接自らに取り込むことで力の象徴となり、闇の王は、すべての亡者たちを率いるに足る存在へと至るのではないでしょうか
そんな訳で、火の炉へ至れない2の世界では闇の王は誕生し得ないのです
グウィンは無印主人公に火の時代を継がせることに成功し、火の炉を閉ざすことで以降の闇の王の誕生を防いだのです
しかし、それは同時に、薪の王が不在でも火が消えないという歪な世界を誕生させた原因でもあります
何故2の世界が「火継ぎの終わりEND」にならないのかというと、窯ではなく、最初の火の炉にて最初の火がまだ燃えているからです
「ドラングレイグか…
なんで、こんなとこに来ちゃったのかな…
なんか… 思い出せないんだよね…」
<石売りのクロアーナの台詞より>
それは緩やかに人を亡者へと変え、ドラングレイクは、火と闇 どちらの王も不在の、擬似的な闇の時代へと導かれたのです
炭の王の最後と拡散する世界
はたして、炭の王たちに後継者は居たのでしょうか?
2主人公がそうであるように、おそらくそんな者は居ないでしょう
火を継ぐのは炭からではなく、火の炉の炎からであるはずです。
2の時代に火の炉の化身が存在していたかは不明ですが、彼らが燃え尽きたところで最初の火はすぐに消えてしまう訳ではありません
ファランの不死隊も、巨人ヨームも「何か」と戦っていました
ヨームは王と成り、守る者を失ってでも鉈を振るい戦っていました
おそらくは燻りに焼かれながらです
もしかすると、彼らを殺し、終わらせてくれる役目の者は居たのかも知れません
「呪いをまとうお方 ソウルを求めなさい
より強く、大きなソウルを そして王の元へ それだけがただひとつの道です」
<緑衣の巡礼の台詞より>
緑衣の巡礼はこんなことばっかり言います
要は強いソウルを持つものであれば、燃料である炭は誰でも良いのです
「…だが、お前は知っているのか?英雄様と呼ばれる薪の王たち、その正体を
例えば、エルドリッチさ
聖職者だった奴は、反吐がでるような人喰いを繰り返し
溺れた豚のように膨れ、蕩けた汚泥となり、深みの聖堂に幽閉された
…そして、エルドリッチは薪の王となった」
<ホークウッドの台詞より>
ただの炭に思想も人間性も関係ないのですから
scholar of the first sinのプロモーションを見れば分かりますが、ヴァンクラッドも玉座に辿り着いた火継ぎの資格者でした
しかし、彼は座りませんでした
自らの思想も人間性も介されず、託す者も居らず、ただ世界の為に長い時を焼かれ続けるには、どれだけの心の強さがいるのでしょうか?
「王とは何か
生まれ持つ器でもなく、定められた運命でもなく… お前が何を望むのか
それはお前自身すら、未だ知らぬ」
<原罪の探求者の台詞より>
炭の王は、言ってしまえば替えの利く使い捨ての薪です。
もしかすると、ドラングレイクが火を継げないでいた中、世界の何処かの大陸では、別の誰かがその身を燻らせていたのではないでしょうか
それこそがドラングレイクが緩やかに存続した理由かも知れません
窯が火の炉と世界を繋ぐ中継点なのだとしたら、世界の火を1人だけが継ぐ理由も無い訳です
火の炉が別次元に在るのなら、火を継ぐのに距離も関係ないのかも知れません
例えば、炭の王となった者は、自らのソウルと引き換えに始まりの火のソウルの一部を与えられる
その力で世界の一部と最初の火の炉を繋ぐことができる
そんな者たちが幾人か居れば、火の炉へのソウル供給は安定し、1人の薪が絶えても、他が頑張れば世界自体は存続するのでリスクの分散にもなります
要は、火継ぎの王とは、故郷を照らし、一国を支える王と変わりない存在となってしまったのではないでしょうか
そして、そんな火継ぎの王の1人が北の巨人たちの大陸に居たのだとしたら?
「…間もなく、ここにもあの巨人どもが押し寄せて来よう
これは報いなのだ、我が王の為した蛮行のな
民の幸福を思い、この地に国を築いた名君であったはずが…
何が、あの方を変えてしまわれたのか…」
<王国隊長ドラモンドの台詞より>
もし、ヴァンクラッドの奪ったものが、巨人たちが継いだ最初の火そのものであったなら
亡者と成り果てた巨人たちが、怒り狂ってドラングレイクを襲撃するには充分な理由となり得るのではないでしょうか。
故郷陰げ、王の消し炭、死出の旅
ダークソウル3の考察へ続きます
まとめ
無印主人公は火の炉から直に火を継いだが、それ以降は火の炉を閉ざされた窯による火継ぎが行われた
窯は火の炉と世界を繋ぐ為の中継点である
窯による火継ぎでは時代の改変を行えず、強いソウルの持ち主であれば誰でも王の資格があり、木炭の王として最初の火のソウルを継ぐ
おそらく窯は世界に幾つか存在し、幾人の王がその地域、あるいは種族に対応して世界の火を継がなければならない
ダークソウル3では人ならざる血を持つ薪ファイブを利用して、無印で行われた太古の火継ぎの再現が行われた
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